公園で読書をするときは
先日、待ち時間に公園で読書をしていました。
日差しがあったので、木陰のイスを選んで座っていました。
木々の間から漏れる日差しはうららかで、とてもよい心地でした。
読んでいたのは、沢村貞子さんの『老いの楽しみ』です。
沢村さんは明治から大正、昭和、平成を生きた方と改めて知り、
4つの時代を生きたなんて、
どれだけのものを見てきたのだろうと思います。
この本は女優を引退なさってからのエッセイで、
その穏やかな暮らしぶりが読んでいて心地よいです。
さて、そんな感じに優雅に読書を楽しんでいると、妨害者が現れました。
蚊です。
気がついたら足のまわりにぶんぶんぶんぶん……
ちょっとお!あんたらさっきまでいなかったじゃないのさ!
油断をすると食われます。
うららかな公園は一気に生きるか死ぬかの戦場になりました(蚊が)。
のどかな昼下がり、ぺっちんぺっちんと殺戮を繰り広げましたが、
敵はどこからともなく無尽蔵に湧いてきます。
十匹を超えたあたりから数えるのが面倒くさくなってきました。
本は一行も進みません。ふんがーっ!
憤慨している間にも敵は襲いかかってきます。
ちゅうちゅうと吸っていきやがります。
……その文字通り血なまぐさい戦いは、やがて終焉を迎えます。
撤退です。
多勢に無勢、あまりの多さにわたくしは撤退を余儀なくされました。
しかし、敗退ではありません。
地面に残る獅子奮迅の活躍の成果を背に、
わたくしは公園を後にしました。
かゆいぜ、ちきしょー。
公園で読書、なんて言うと優雅でよいですが、
こういうリスクもあるのですね。
虫よけは忘れずに。